2012年12月31日月曜日

2012年映画ベスト


今年はよく映画を観た。
週末は予定がない限りは仕事帰りにレイトショーで観ていた。
リストアップしてみたら、ダークナイトもドライヴもアベンジャーズもエヴァも007もランクインしないTOP10になってしまった。なんじゃこりゃ。
トホホは怒るほど酷い作品にはぶち当たらなかったの割愛。

【1位】アルゴ
全編手に汗握る展開。オチが分かっているはずなのに、リアリズムあふれる映像でダレ場全くなし。ベンアフレックの映画に込める情熱が結実した傑作。

【2位】桐島、部活やめるってよ
登場人物の視点の演出と立体的な構図、ラストに向けて収斂するドラマ、大作ではないがこれは紛れもなく映画的な映画。

【3位】おおかみこどもの雨と雪
人が育つ、生きるという根源的なテーマを「画」として描写するところが素晴らしく、「画」であるが故にが心を揺さぶられる。アニメである必然性を一段上の段階まで進めた新たな地平線を示す作品。

【4位】ドラゴン・タトゥーの女
原作を読んでないと展開が速すぎてついて行けないのだが、完璧な映像作品であることは確か。まあフィンチャー好きなので。

【5位】黄金を抱いて翔べ
バイオレンス描写と昭和のざらついた世界観が好み。原作を忠実に映像化している。

【6位】ザ・レイド
肉弾戦の極北。一線を画した格闘戦。

【7位】フランケンウィニー
ティムバートンの犬愛と怪獣愛にあふれた楽しい快作。昔のティムバートンの作風なところが個人的に好き。

【8位】アウトレイジ ビヨンド
なんのかんと言っても北野映画好きなので。

【9位】プロメテウス
話はクソだが映像は完璧。いろいろな意味でブレードランナー的。

【10位】アイアンスカイ
風刺のえげつなさが好き。


2012年12月3日月曜日

007スカイフォール【ネタバレ】


真面目すぎるというか、硬質というかハードボイルドというかこれまでの007シリーズとは雰囲気が違う作品。
瞬間最大風速的に素晴らしいシーンがいくつかあるのだが、全体としてみると若干冗長。

カジノでベレニス・マーロウとやり取りをするシーンとか、最初にシルヴァ扮するハビエル・バルデムが登場するシーンはうっとりするような出来。
特にハビエル・バルデムの演技は間の取り方とか溜息とか息継ぎとかすべてが完璧に調和がとれていて素晴らしい。
近年の007シリーズの中で抜きに出た敵役なんじゃないかと思う。

監督がサム・メンデスなのでアクションを心配する向きもあったが、アクションシーン関してはむしろ杞憂で、しっかりしたカット割りできちんと見せてくれるので、最近よくあるカット割りが速すぎて画面で何が起こっているかわからない、ということはなくとても安心して観てられる。

しかしボンド自体が真面目すぎて軽妙さというか色艶が足りない感じ。秘密兵器も少ないし。
初代ショーコネリー版ボンドにリスペクトしてか、「ボンド、ジェームスボンド」のお約束台詞が復活していたり、ハンドガンがワルサーPPK/S(台詞ではPPKSと言っていた)になっていたり、クラッシクバージョンのアストンマーチンンが出てきたり、射出装置に関するとジョークなど、往年のファン(というかサム・メンデスの思い入れ?)へのサービスもあるのだが、そこじゃないんだよなぁ感。


たぶんボンドガールとかジョークが足りないだと思う。
今回のボンドガールは事実上Mであるジュディ・デンチだし…。
映画としてはよく出来ているんだけど、自分的これじゃないんだよなー感があってちょっとだけ残念な感じ。

やたら「世代交代」的なニュアンスをここあそこに忍ばせてきたので次回あたりでダニエル・クレイグ 版ボンドは終了なのかもしれないね。

あとシルヴァのアジトである「島」だが、「ああなんか軍艦島ぽいねー、ああいう島が他にもあるんだー」と思っていたら、本当に軍艦島でロケしてました。

2012年3月11日日曜日

脳動脈瘤の手術をした・手術編


手術の数日前から退院までをサマリー。
入院予定日は12/9"頃"。なぜ"頃"なのかといえば、病床の空き状況によって入院日が変動するから。
入院日が確定するのは前日電話がかかってきて確定する。
12/9の朝9時30分に連絡があり12/10(土)で確定


■1日目(12/10) 入院
9時30分に入院手続き。
病室に移動して病室の説明を受ける。
ここで手術日が12/14ではなく一日繰り上がり13日になったことを知らされる。
家族の説明や手術の立ち会いがあるので家族に連絡。
この日は精密検査を一通りおこなう。
頭部CT、頭部レントゲン、血液検査、心電図、呼吸機能検査、麻酔医の診断など。
ほぼ午前中に終わり、午後は何もすることはなし。

■2日目(12/11)
日曜日なので検査などはなし。何もすることなく待機。
日曜日なのでほかの患者さんのお見舞いが多い

■3日目(12/12)
麻酔医、手術担当の看護師よりいろいろ説明。
主に麻酔から覚めたときなどについて。21以降は食事も水もNG。
夕方に先生から家族を交えての手術の説明があるので待機。
16時くらいの予定が大幅に伸びて18時くらいに。
先生の説明はセカンドオピニオン時の説明とほぼ同じで新しい説明はなし。

■4日目(12/13)手術日
7:40ごろ 歩いて手術室へ
8:30ごろ 手術室の入り口で待機。入念に本人確認される。
手術室は何室もあり、さながら本番前のTV収録スタジオのような忙しさと緊張感。
9:00ごろ? さらに歩いて一番奥にある手術室へ移動。手術室に入る前に「器具とかがすごくてびっくりしてしまう患者さんがいますけど、怖がらないでください」と一言言われてはいるが、「脳手術なんだから、設備が物々しいのは当然だろ」と思っていたので特に驚きもせず。確かに凄い設備ではあったが。
看護師さんに促されて自ら手術台に寝る。手術台から落ちないように腕などをベルトで止められる。
点滴針、心電図や酸素濃度計などがてきぱきと取り付けられていく。
手術台に寝てから5分もしないうちに「では麻酔の薬をいれますね。腕がすこしチクチクしますよ~」と言われ30秒もしないうちに意識を失う。

次に目覚めたのは自分の記憶では確か15時くらい。すでにICUに移動。
看護師さんに「ここドコですか?」と聞く。※その後の記憶なし。
実際は13時くらいに一度覚醒し「苦しい、痛い」とうなされていたらしいが全く記憶にない。
16時くらいに再度覚醒し、看護師さんに「お名前、年齢、手術した年月日」を聞かれる。当たり前のように答える。また足と腕が動かせるかのチェックもおこなう。普通に動いた。
とりあえず手足に麻痺などは残っていないようだ。よかった。
普通にしゃべれるし、手足も動いたのはいいが、とにもかくにも「痛い」し「苦しい」。
「痛い」のは頭の傷と腰。腰が痛いのは体中に管をつながれていて身動きができず、筋肉が緊張してしまっているため。「苦しい」のは熱とのどの渇きと酸素マスク。
のどの渇きを訴えたが、しばらくは水は飲めないということで我慢を強いられる。
酸素マスクはつけていると息苦しいので外していると、血中酸素濃度が落ちてモニタリング機器がエラー音を出すため外すに外せない…。
とにもかくにも痛くて苦しい。早く楽になってICUを出たいと思うが、自分の想像以上に時間の流れが遅く感じられてなかなか朝にならない。
覚醒するたびに看護師さんに例の本人確認質問と「痛くないですか?吐き気はないですか?腕のしびれとはないですか?」と聞かれる。痛いので痛み止めを点滴してもらう。
3時頃目をさますと吐き気が感じられたので看護師さんに「気持ち悪い」と訴える。
ここで変な後遺症でもあるんじゃないかと心配になり「なんで吐き気をもよおすのか?」と聞いてみたところ「全身麻酔の副作用で吐き気があるんです」と言われる。
ビニール袋をもらって吐こうとしてみたけれど胃袋が空っぽらしく何も出ず。しばらくしたら吐き気は収まった。


■5日目(12/14)手術日翌日
6時頃に目が覚めると看護師さんに「歯をみがきましょう」と言われる。
ICUでなんでわざわざ歯磨きなんかするんだよ?と不思議に思ったので看護師さんに聞いたところ「口の中に人工呼吸器や管などを差し込んでいて雑菌が入っているのです。水を飲む前にその雑菌を消毒するために歯磨きをしてもらうのですよ」と説明された。なるほど。
先生からCTを撮って問題がなければ一般病室に戻れますと言われる。
CTを撮ってみたところ特に問題ないということで一般病室へ移動。
一般病室へ移動したが尿道に管がつながったままなので立ち上がりはNG。
大便をする場合は看護師さんに手伝ってもらわないといけないのだが、自分の場合は手術前の絶食が効いたのか便意を催すことがなく恥ずかしい思いをせずに済んだ。
昼食を看護師さんが運んでくれた。おかゆと焼き魚。
がしかし、熱があるせいか全く食欲なし。食欲なしというか、満足にのどに通らない。
出されたモノはきちんと食べようと思い、意地で食べようと試みるも焼き魚を全部食べるのがやっと。
後片付けにきた看護師さんに「魚全部食べたんですね。すごいですね」と言われたが「何がすごいんだ?」とその時は思ったのだが、その後手術後の他の患者さんを見ているICUから出てきた日にゴハンを食べていた人は誰もいなく(熱や痛みでそれどころじゃない)、食べられるだけでも相当なことらしい。

それと頭の筋肉を切っているため、口を開けると痛い。
数日である程度は開けるようになるが、退院後しばらくはハンバーガーなどを食べるのがかなり辛い。

■12/15 手術から二日目
熱が下がらず朦朧とする。傷の痛みと頭痛があるので鎮痛剤(ロキソニン)を飲む。
薬を飲んでも熱が下がらないのでアイスノンで脇の下を冷やす。
傷がある右側が腫れはじめ、右目が見えないくらいになる。

■12/16
前日よりは熱が下がってきた。


■12/17
傷の痛みや頭痛はあるが、熱は引く。
傷口の包帯をとってもらう。27針打ち込まれたステッブラー(ホチキス)のおぞましさに引く。
メールとか食事とか通常と違う作業をするとなぜか大汗をかく。体がまだ普通の状態には戻ってないらしい。
会社のスタッフがお見舞いにきてくれた。

■12/18
日曜日なので何もない。

■12/19
先生から12/21に退院できると言われる。
特に変化なし。

■12/20
特に変化なし。
夜に抜鉤(ばっこう)してもらう。※ホチキスは抜糸ではなく抜鉤というそうだ。

■12/21
最後に先生からの病状の説明を聞いて退院。
特に目新しいことは言われなかったが、ここで初めて手術中の自分の脳の写真を見せられる。
動脈瘤は4つくらいのザクロ状のクラスタを形成していてかなり不定形。
不定型な瘤ほど破裂しやすいのは、先生からも説明を受けていたので聞いてはいたが、水ぶくれのような水疱を予想していたので、そのグロテスクな形状に戦慄する。


結局手術後一週間で退院してしまった。
頭の手術をしたのに一週間で退院できてしまうとは、現代の高度医療恐るべしである。

2012年3月7日水曜日

『戦火の馬』とスピルバーグのオレ的ベスト


先週末に西新井のTOHOシネマのレイトショーで『戦火の馬』を鑑賞。

『戦火の馬』と『ヒューゴの不思議な発明』のどちらを観るかで迷ったが、自分はスコセッシよりスピルバーグが好きなので『戦火の馬』を観ることにした。ヒューゴは来週観よう。

『戦火の馬』は普通にいい映画でした。「普通においしい」と同じで変な日本語ではありますが。
第一次世界の戦争の荒波の中で、一頭の馬がそこで出会う人々に希望を与えていくという、実に優等生的というか、ソツがないというか、文部科学省が推薦しちゃいそうな映画。
よかったのはジャム農家の娘がカワイイのと、中間地帯でのイギリス兵とドイツ兵のやりとり。
中間地帯でのやりとりは、緊張感の中に、ユーモアと演出の弛緩の具合が絶妙な味わい深い良いシーンだった。

西部戦線のバトルシーンはヤヌス・カミンスキーの撮影も相まって、臨場感溢れるリアルな演出ではあったが、プライベートライアンの自己模倣な感じも否めず、もう一超えほしい感じ。唐突に戦車が出てきたところはスピルバーグぽかった。

しかしスピルバーグは自分が子供の頃から撮っているにもかかわらず、未だに第一線の監督というのがスゴイよなぁ。自分は最初に劇場で観た映画が『未知との遭遇』だったので、個人的な思い入れも強く、とても好きな監督。

ということで暇つぶしにスピルバーグ監督作品のオレ的ベストを並べてみた。
好きな監督はいいつつ全部は観てないのですが。


【1】ジョーズ
E.T.にするか迷ったけど自分的にはコレ。
モンスター映画として完璧。若干20代でこれが撮れるって、もう天才としかいいようがない。
今観ても全然古くなく、すでに何度も見ていて次のカットでサメが出るぞーとわかっていても、最後までみてしまう。

【2】E.T.
チャリコが空飛ぶだけでなぜか無茶苦茶感動する。まさに映画的奇跡。
脚本がどうのこうのとか映像技法がどうのこうのとか、そういう技術論を飛び越えたところに感動のポイントがある。20周年アニバーサリーバージョンは蛇足。

【3】プライベート・ライアン
冒頭30分のオハマビーチの戦闘シーンを映画館で観たときの衝撃いったらない。銀残しのざらついた映像と容赦のない残虐描写、そして抜群の音響効果設計でまさに戦場に放り込まれたかのよう。絶対に映画館で観るべき映画。これを家で観たらこの作品のすばらしさの1/10もわからない。映画史的に「プライベートライアン前と後」と区別されるほどその後の戦争映画に影響を与えた。ぶっちゃけた話「お話」はどーでもよく、冒頭30分にこの映画の価値が凝縮されている。


【4】宇宙戦争
スピルバーグが撮った怪獣&9.11映画。
突然訳分からない正体不明の奴に、訳も分からないままブチ殺される恐怖を描く。
とにもかくにもトライポッドの演出が素晴らしく、ブォオオオンという怪音と共に人類を皆殺しにする様はまさに怪獣。トライポッドの登場の仕方とか見せ方とかいちいち巧すぎ。完膚なきまでの破壊と皆殺しの背徳的な爽快感がたまらない。
港のシーンで逃げ惑う群衆の後ろからゆら~りとトライポッドが襲ってくるシーンとかうっとりしてしまう。一度でいいからゴジラ撮ってくれないかなぁ。

【5】レイダース/失われたアーク
インディシリーズの中では一番ワクワクする。

【6】未知との遭遇
日本の特撮番組を見ていた子供にとってこのVFXはとてつもなくリアルだった。
もう日本の特撮とか子供だまし(当時小学校1年生なんだけども)で見てられないとか思ったくらい。

【7】激突!
これも形を変えたモンスター映画。
モンスター映画のセオリーに従い、トラックの運転手が姿を見せずそれがさらに恐怖感を高める。
20代前半でこれが撮れちゃうってどんだけ天才なんだよ、と思う。

【8】ジュラシック・パーク
「生きている恐竜が見れるなんて!」と公開当時もの凄く感動した。

【9】ミュンヘン
地味だし一般の人はあまり知られてないけど個人的に好きな作品。
暗殺の仕方が妙に泥臭く、それが妙なリアリティを生んでいる。
おっぱいのさらしている女殺し屋の胸に仕込み銃で一発喰らわせるシーンの、胸のど真ん中に開いた傷から血がたらーっと流れるシーンのエロとグロと間抜けさがないまぜになっている感じが秀逸。
食事をテーマとした家族の描き方もよい。

【10】インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
ショーンコネリー出すのは反則だろ、って気がするが楽しいからいいか。

【11】インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
所謂ジェットコースタームービーの先駆けで、公開当時は超喜んで観たのを記憶しているが、後に何も残らないタイプの作品。

【12】戦火の馬
優等生的な作品過ぎるなぁ。

【13】A.I.
人類が全滅して数千年経った後の、絶望感というか、諦観というか、観客置いてけぼり感が好きです。

【14】マイノリティ・リポート
今となってはAR的な表現を一般的に使用した作品として有名ですが、公開当時はイマイチな評価でした。
ディックの原作とも違うし、プロットに穴があるし(義眼の判定とか)、いろいろと微妙。

【15】キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
映画としては面白いです。でもスピルバーグが撮る必要性ってあるの?

【16】続・激突! カージャック
2回観ているはずなのに全然内容覚えてねぇ。
ちなみに『激突』とは全く関係のないお話です。

【17】インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
クリスタル・スカルって言われたら、そうなんですよね?ああやっぱりそうなんですか、って感じの予定調和。シャイア・ラブーフはいいと思う。

【18】タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
インディをフルCG&3Dでやりました。以上!
アクションとかカメラワークとか物理的な制限を受けてないからスゴイはずなんだけど、圧倒的にアナログなインディのほうが面白いというジレンマ。

【19】トワイライトゾーン/超次元の体験
どんな話か忘れた。

【20】ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
2作目になって突然恐竜の扱いがぞんざいに。マイケルクライトンの原作とも大きく外れていて全体的にひどい。

【21】ターミナル
つまらなくないけど、これもスピルバーグがやる必然性がない。

【22】1941
いうほど駄作でもないが、面白いわけでもない。

【23】太陽の帝国
どんな話か忘れた。

【24】カラー・パープル
どんな話か忘れたけど、感動的な演出を無理矢理しているのだけ覚えている。


以下、観てない映画。「好きな監督だったら全部観ろ!」と思うが90年~95年くらいはつまらない雰囲気の作品が多くてパスしているのが多い。

【番外】シンドラーのリスト
長い、という理由だけでパスしている

【番外】世にも不思議なアメージング・ストーリー
見たような気もしているけど記憶がない。

【番外】オールウェイズ
スピルバーグに人間ドラマとか求めてないしなぁ、っていう。

【番外】フック
オッサンのロビンフッドなんて観る気がしないよ。やっぱり。

【番外】アミスタッド
この一連の社会派ぽいのは見る気になれない。社会派映画はいつも怒っているような人(80年代のオリバーストーンとか)そういう人がやればいいと思う。

【番外】刑事コロンボ/構想の死角
これはフィルモグラフィに入るの?

この機会に観てない作品つぶそうかな…。

2012年2月21日火曜日

『虐殺器官』を読んだ


血圧計ったら151の105だった。高いよ!
またイライラし始めたのが原因かなぁ。
夜更かしは血圧によくないのでこのエントリを2時までに書き終える!

虐殺器官
小説です。週刊文春の「人生モグラたたき」という漫画で紹介されていて面白そうだと思いAmazonでぽちって購入&読了。
箇条書きで簡単に紹介。

・作者伊藤計劃は肺がんで34歳の若さで死去
・本作の原型はゲーム「スナッチャー」をモチーフに書きかけて挫折した小説がベース。小島秀夫監督のメッセージが帯にあり。
・小島秀夫監督な熱狂的な信者。
・ベストSF2007国内編第一位。
・ゼロ年代ベストSF国内編第一位。

あまり国内SF小説を読まないので水準がいまいちわからないのだが、科学的な理屈をベースにしたSFという意味ではかなりちゃんとしているように思える。特に進化論の考察は最近読んだ『ジェノサイド』よりもこちらのほうが「自然淘汰」の理解が正しい。
本文の中で人間がほかの類人猿に勝ち、最終的に生き残った理由として「助け合う」ことをあげていて、「必ずしも強い者が生き残るわけではなく、結果的に環境に適合したものが生き残る」という自然淘汰の正しい解釈がされている。

主人公の設定がMGSのソリッドスネークよろしく特殊部隊の戦闘員なのだが、この手の冒険小説的主人公の一人称の「オレ」ではなく「僕」であるのがとても新鮮。
凄惨なバトルシーンも「僕」と表記するだけで、冷静でどことなく冷めたそして少しのユーモアをたたえた絶妙な雰囲気になっている。これは単純だけどあまり見ない手法ですごい。

そして「虐殺」に至るロジックと「虐殺する理由」もおもしろい。
なんとなく「世界の中心で愛を叫んだけもの」的な雰囲気もあるけども。

なかなか良い小説だったのでもう一つの「ハーモニー」も読んでみようかと思う。

んで書き終えたのは2時5分でした。


2012年2月13日月曜日

『ドラゴンタトゥーの女』とデヴィッド・フィンチャーのベスト


デヴィッド・フィンチャーは好きな映画監督の一人だ。
ということで『ドラゴンタトゥーの女』を観た。原作は既に読了済みの状態で鑑賞。


原作の映画化という点では非の打ち所がない完璧さ。モンタージュや場面転換の精密さが凄まじく1シーンで二つの事象を描写するとか当たり前。考え抜かれた脚本に舌を巻く。

例のごとくオープニングも無茶苦茶カッコイイ。
これをパクる映像が出てきそう。

完成度としてはほぼパーフェクトな出来なんだけども、いかんせん原作があるので、原作のパフォーマンスを大きく超えてきてはいない。

また、もの凄い情報量とスピードで進行するので、原作未見だと登場人物が整理しきれないだろう。もしこれから観る人は原作を読んだ方がよいと思う。

まあ原作(小説)を超えるような映画化というのは滅多にないので、この出来でも相当評価はされるが。
原作を超えた映画化って「砂の器」とか「羊たちの沈黙」とかだろうか自分的に印象に残っているのは。

じゃあどれくらいフィンチャーの映画の中で評価してるのよ、っていうことでランキングしてみた。

1位:ファイトクラブ
2位:ソーシャルネットワーク
3位:セブン
4位:ドラゴンタトゥーの女
5位:ゲーム
6位:ゾディアック
7位:エイリアン3
8位:パニックルーム
9位:ベンジャミン・バトン※未見

並べてみると『ドラゴンタトゥーの女』は意外と評価しているんだな

最初に観たのは「エイリアン3」だが、注目し始めたのは「セブン」から。
「セブン」は冒頭からずーっと雨のシーンが続くのだが、物語のクライマックスを伴って突如カラっと晴れ上がる。そのシーンの素晴らしさに驚愕し、「この監督は凄い奴だ」と確信しずっと見続けている。
その後の活躍はご存じの通り。やっぱり凄い奴は、凄いまま生き残るんだよな。

2012年2月4日土曜日

脳動脈瘤の手術をした・セカンドオピニオン編


脳の手術をするならば基本的にセカンドオピニオンを受けた方がよいです。
また部位がクリティカルなので術数が多い病院で受けましょう。データはWebや本で調べればわかります。
セカンドオピニオンは通常の診療とは違うので大体2万円前後くらいかかります。ただ病院によっては診療扱いにしてくれるところもあります。

自分はWebや精密検査を受けた病院の先生などから聞いて「年間の手術数が100以上」「都内」「開頭手術をメインにやっている」を条件に調べました。自分の動脈瘤は素人目にもカテーテル手術は無理だと思ったので開頭をメインにしている病院を選んでいます。
最初のセカンドオピニオンはT大学病院に。

その時点の自分内の要点としては発生するリスクをどう見積もるか?ということでした。要点は二つ。

①手術のリスク(某かの後遺症が残る)
②破裂してくも膜下出血となる可能性

②のほうはぶっちゃけ本当に確率的なので判断のしようがない。
①のリスクがどの程度さえわかればいいので手術のリスクについてできるだけ詳細に聞こうと考えました。
回答の精度を上げるためにアジェンダ(質問表)を用意して臨みました。


■最初のセカンドオピニオン・T大学病院
セカンドオピニオンを受ける場合は最初に診察してもらった病院から紹介状とMRIのフィルムや画像のCD-ROMを受け取り、それを元にお話をします。

○手術するべきか、経過を見守るべきか?
42歳で5mm大の動脈瘤であれば手術をするべき。
くも膜下出血になった場合、最悪のケースとして手術できないケースがある(脳圧が上がって手術不可能になる)。また後遺症も出やすくその後の自身および家族の人生を棒に振ることにもなりかねない。60歳以上であれば経過を見守るケースもあるが40代の場合、くも膜下出血になった場合のリスクが大きい。動脈瘤の場所も手術的には難しくないので手術するべきだ。

○治療するとすればやはり開頭手術か?
場所が動脈の分かれ目にあり、なおかつ開口部が大きいためカテーテルでプラチナの糸を入れたとしても糸が出てくる可能性があり脳梗塞のリスクがある。手術するならば開頭してチタンクリップでとめる処置をする。
またクリップ手術であれば根治でき、その箇所で再発する可能性はほとんどない。

○手術する場合に具体的にどのようなリスクがあるのか?(瘤の大きさ、位置などによる手術の難易度)
動脈瘤の位置は右こめかみの表層から2cmの箇所。
動脈瘤の手術をする場合は頭蓋骨に穴を開け、脳の裂け目から顕微鏡を分け入って手術をするがこの場所は浅い場所なので到達するには難しい箇所ではない。
しかし血管の付近に運動を司る脳への細かい血管があるため、その血管をあやまって塞いでしまうのがリスクになるが、今は血流が通っているかを調べる検査機器などがあるので大丈夫。

○具体的なリスクを避けるためにどのような術式をとっているのか?
1mm以下の血管でも血流が通っているかどうかを調べられる検査機器や血流を特殊な薬で浮きだたせるなど血管を塞いでしまわないように検査しながら手術を進めるので麻痺が残ると言うことはほとんどない。また術中に運動機能に反応があるかのテストもしている。

○入院期間とその後の自宅療養期間
なにも問題がなければ手術前3日、手術後10日程度の入院。2week程度の自宅療養。


T大学の見解をまとめると「手術はやるべき。また手術を失敗する可能性はほぼない」とのこと。
さらに確証を得たいので公立S病院で再度セカンドオピニオンを受けてみるが見解はほぼT大学と同じ。

二つの病院で「手術すべし」という見解を得たので手術をする決心をする。

(手術編に続く)

脳動脈瘤の手術をした・精密検査編

【セカンドオピニオン用のCDROMに入っていた精密検査の画像】


平成23年7月中旬にJ大学に造影剤による精密検査を受けるために入院。

■1日目
AM10時より入院。
股の付け根よりカテーテルを入れるため下の毛をバリカンで剃るように看護士さんより指示。
入院前に言ってくれれば剃っておくのに…と思いつつバリカンで剃る。看護士さんによる目視のチェックが恥ずかしい。
さらに血栓防止のため弾性ストッキングの購入も指示。
シャワーにも入っておくように指示される。
それ以外は血圧、体温の測定以外は特になし。

■2日目
カテーテルの検査。10時くらいに手術室に移動。
局部麻酔による検査開始。
カテーテルが血管に挿入されるが全く感覚はなし。ただ挿入口の部分は時々痛い。
先生のかけ声で造影剤が血管に投入される。指定された部位がカッっと熱くなる。
なんのかんので1時間くらい撮影。
その場で3DCGによる瘤の画像が生成される。
最初の先生の一声「根治させるならば開頭したほうがよいですね。一応カテーテルの先生にも聞いてみますが」
画像を見ると瘤の開口部が広く、素人の自分が見ても「カテーテルは無理かなあ」と思う。
精密検査後は大腿の動脈にカテーテルを通したため止血のため寝返り禁止4時間と言われる。
この寝返り禁止4時間というのが辛い。検査途中からすでに背中から腰が痛くなり始めていて病室に戻ったときにはすでに強烈な腰痛が。体を絶対に動かしてはいけないので筋肉を伸ばすことができず、どんどん腰が痛くなる。
安静にしているのがこれほど辛いことだとは思っていなかった。


■3日目
検査の結果はチームで検討してからお話ししますということで支払いを済ませて帰る。
費用は約8万円。

■検査結果
J大学の見解。
詳細な血管の撮影の結果から、瘤の大きさは4mm~5mmの間。瘤の開口部が広がっているためカテーテルでプラチナのワイヤーを挿入しても出てきてしまう可能性があり、カテーテルによる治療はできない。よって治療するとすれば開頭手術をするしかない。
しかしながら手術をすることによる合併症等のリスクは3%~5%、今の瘤の位置の大きさを鑑みると破裂する可能性は今の所は1%以下の0.5%程度だと考えられる。リスクを鑑みると手術するのではなく定期的に経過を見たほうがよいと判断します、とのこと。
順天堂大学医院の所見は「経過を見る」ですが他の病院では「手術したほうがよい」と判断される病院もあるかもしれません。ですのでセカンドオピニオンを受けることをオススメします、と言われる。


手術したいと思っていたのに開頭による手術にはリスクがあると言われてビビる。
そして頭を爆弾を抱えたまま、この先どうすれば良いのかを思い凹む。
病気の発生が確率の雲の中にあるので判断が難しく、この見解には正直かなり陰鬱な気持ちになった。
しかし、「セカンドオピニオン」の勧めがあったので開頭手術の術数が多い病院を調べ、そこにセカンドオピニオンに行くことにする。

(セカンドオピニオン編へ)

2012年1月22日日曜日

脳動脈瘤の手術をした.発覚編



平成23年12月13日に脳動脈瘤の手術をしました。
同じ病気にかかっている方への参考として病気の発覚から手術までをまとめてみました。

脳動脈瘤というのは脳の動脈にできた瘤(こぶ)です。
未破裂の動脈瘤は大きくなって神経を圧迫するなどしない限りは自覚症状はありません。
しかし、破裂すると「くも膜下出血」となります。小室哲哉の奥さんKEIKOなどが発症したのがこれに当たります。
くも膜下出血が発症した場合、通常の生活に戻れる確率は30%。なんらかの後遺症が残るのが30%。死亡する確率は30%。
5mm大の動脈瘤が破裂する確率は1年で1%。破裂しないとキャリーオーバーされるそうで(確率計算的にはおかしいですけど)10年で破裂する確率は10%になります。1年で死亡する確率0.3%、10年で3.3%。素敵な具合にデンジャーです。
※大きさ=破裂する確率大とはいえないそうで小さくても破裂することもあるそうです。

とはいえ、破裂しなければ普通に健康体です。
シャアやフル・フロンタルも言っていたように「当たらなければどうということはない」というヤツです。

■きっかけ
平成23年4月上旬。朝起きるといきなり頭痛。
頭痛だけなら鎮痛剤で飲めば直るだろうと、薬のんで家を出るが家を出て数十メートル歩いたところでめまいが発生。
めまいを伴う頭痛は経験がなかったので、「いつもと違うな」と判断して引き返して仕事を休むことに。
めまい以外にも吐き気も出てくるが熱はなく風邪の症状はない。一瞬くも膜下出血で倒れた巨人の木村拓哉コーチのことがよぎり脳の病気を疑うが寝ていたら直ってしまったので大丈夫か?と思い次のには普通に仕事をした。
しかし妻が「病院に行って詳しく調べてもらえ」というので後日病院に行くことに。※妻にしつこく「病院に行け」と言われたので行きました。妻に大感謝です。

ちなみに脳動脈瘤には自覚症状はありません。頭痛も関係ないそうです。※先生にしつこく聞いたが否定。
先生曰く「脳動脈瘤で自覚症状があるということはつまり出血しているので頭痛どころのさわぎじゃないですよ」だそうです。
なので脳動脈瘤が発覚するケースは「脳ドック」「交通事故などの別の検査で判明」「偏頭痛があるので念のため検査」のいずれかになるかと思います。


■近所の診療所
平成23年5月。近所の内科で頭痛の話と家系的に高血圧、血管の病気が多い事から念のため大きな病院でMRIを撮影することに。
診療所→大きな病院→診療所と大きな病院なら一回で済むところを三度も病院に行くハメに。
そこで発見されたのが今回手術した右こめかみにあった5mmの動脈瘤。
診療所では処置できないと言うことで、紹介状を書いてもらって大学病院で精密検査を受けることに。
よく知り合いが「頭痛が酷いから病院行ってCT撮ったけどなんでもなかったんだよね」という話を何回か聞いていたので、自分もそうかな?と思いつつ話を聞いたら「え?動脈瘤って何?」という感じでかなり衝撃的でした。

■J大学病院診察
近所で大きい大学病院、しかも脳動脈瘤の術数が多いということでJ大学の紹介状を書いてもらい受診。
要点は以下のポイント。

①手術するか、経過を見るか?
動脈瘤自体に自覚症状はなく、破裂さえしなければ通常の日常生活はできます。
破裂する確率は5mm大の場合1年で1%。手術の合併症リスクを考えたときに手術するかしないかは患者さんの意志によります。
手術しないで経過を見る場合は半年ごとにMRIなどの検査をして瘤に変化がないかを確認します。
ただし瘤が小さくても破裂する可能性がゼロではないのでそのことは留意してください。
破裂した場合は開頭して手術しますが、くも膜下出血の場合入院が1~2ヶ月、元の日常生活に戻れる確率は30%程度になります(それ以外はなんらかの後遺症が残るか死亡)。

②手術する場合の方法
開頭してチタン製のクリップで瘤をつまむ方法、カテーテルで部位まで到達し瘤にプラチナの糸を充填して破裂を塞ぐ方法の2つあります。根治するならばクリップがよいです。カテーテルは患者さんの負担は少ないですが開発されてから10年も経ってない技術なので今後何か問題が発生する可能性があります。またカテーテルは瘤の形状、部位によっては適応できない箇所があります。

③手術するならば精密検査が必要
手術する場合は瘤の形を正確に把握するために精密検査が必要です。
カテーテルを入れ造影剤を血管に流し、血管の詳細な状況を検査します。
カテーテルを挿入するので二泊三日の検査入院が必要です。

以前白内障を患って放置していたら、稀な症例(もの凄い白濁化が進行)となってしまいポピュラーな術式を受けられなかった経験があり「病気がある場合はできるだけ早く対処する」というのを信条にしているため、手術を前提に精密検査を受けることに。その場で入院の予約を入れる。

(精密検査編につづく)

2012年1月15日日曜日

2011に観た映画ベスト


映画秘宝とかキネ旬のベストを見てしまうと評価がブレそうなのでその前に自分的備忘録として書いておく。昨年はそもそも数を観てないな…。


1位:ソーシャルネットワーク
シリコンバレーの熱気とスピードとドライブ感を見事に映像化している。
まさに2011年に見ておくべき映画で数年たったら陳腐化する。
個人的なお気に入りは隅々まで丁寧に設計されている照明。特に冒頭のハーバード大のキャンパスからのくだりが素晴らしい。
あと演出がいちいち映画的でいいんだよなぁ。エドゥアルドがシリコンバレーのオフィスに訪ねてくるときにどしゃぶりの中に突っ立ている演出とか、古典的なんだけど絵だけでエドゥアルドがははぶられているのがわかる。エドゥアルドをクビにするときに遠目でザッカバーグが見ているシーンもいい。
印象的なシーンがたくさんあり、さらにテンポが絶妙。やっぱりフィンチャーは凄いよね。
ギーグの孤独な肖像と矮小化して評価するのはあまりに短絡的すぎる。

2位:8ミニッツ
緊張と謎解きでぎゅうぎゅうに押し込めるSFサスペンスと思いきや、別の意味で思ってもみなかった展開に。密室のオペレーションルームから、抜けるような青空のシカゴへの展開が実に鮮やかで爽やか。鑑賞後に清々しい気持ちになれる。 ミシェル・モナハンとヴェラ・ファーミガが魅力的。

3位:猿の惑星・創世記
SF設定とシナリオがパーフェクト。
大味ハリウッド脚本かと思いきや、かなり整合性がとれたシナリオになっている。
シーザーの演技が素晴らしく、シーザーの感情の振れ幅がそのままサスペンスとなりドラマになって映画に一定の緊張感を与えている。

4位:アジョシ
感情の押し引きとアクションの溜めと解放が直結しているので、カタルシスがあるバイオレンス映画になっている。
最後の肉弾戦は血湧き肉躍る素晴らしいシーン。

5位:イップ・マン 葉問
謙虚で控えめなドニー・イェンの演技がイップ・マンのキャラとマッチしていて達人の雰囲気を醸し出している。
ドニー・イェンは決して二枚目な俳優ではないんだけど佇まいが素晴らしく、とてもカッコよく見える。クンフーの動きにもキレがあり、撮影によるごまかしもなく見応えアリ。
WOWOWで観たことを後悔。映画館で観ればよかったorz。序章は見てないです…。

6位:宇宙人ポール
ポールの煙草をくゆらす時の世間擦れした演技がいい。この演技だけでキャラを語っているんだから大したもの。進化論否定論者を罵倒するシーンに抱腹絶倒。スピルバーグと80年代SF映画オマージュなので作品を観てないとなんのこっちゃわからないパロディがあるが自分の青春時代の映画ばかりなので全く問題なし。あの傑作SF映画を観ていればラスボスに拍手喝采すること間違いなし。

7位:X-MEN:ファースト・ジェネレーション
ミスティークが腫れぼったくなった以外は完璧なんじゃないか。
映画の出来は非の打ち所がないと思う。

8位:SUPER8/スーパーエイト
エル・ファニングの演技と冒頭の脱線シーンだけで評価。
これもスピルバーグオマージュだが、微妙な勘所(泣かせどころ)がずれていてストーリーにノレない。ただ演出は巧いよねJJエイブラムス。

9位:電人ザボーガー
愛のあるリメイクであれば多少カオスでもへたっぴでも観客は許すよね、という映画。
邦画でこれほどまでにバカのテンションを全編貫いているのは賞賛すべき。

10位:ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
ハズレを作らないトムクルーズのプロデュース能力はすごい。今回はキャスティングがよい。特にレア・セイドゥーのアサシン。途中退場がもったいなかった。

2012年1月12日木曜日

職場復帰いたしました。



昨年12月13日に脳動脈瘤の手術をし、退院後2週間の自宅療養期間を経て1月11日より職場復帰いたしました。

2週間のニート生活が板についてしまい、普通に仕事できるのかどうか不安ではありましたが、割と普通にお仕事できました。10時~22時まで仕事してみましたが特に問題なさそうです。
帰宅後血圧を計ったら案の定、入院時より高くなってましたけどしょうがないのか。逆に入院時はあまりに普通の血圧(上120下80)すぎてびっくりしましたが。

医者からは「頭をぶつけなければ運動をしてもOK」といわれていますが、頭をぶつけないようにして運動するのも難しいのでしばらくは運動は控えようかと。

坊主(今は五分刈り程度まで伸びている)については「あまり違和感ない」とスタッフから言われましたが、自分はあんまし好きじゃないんですよね。
カミさんは「今のほうがすっきりしていていい」と言われてはいますが…。
来客時以外はニット帽をかぶっています。

飲みに誘って頂いてもOKです。
退院後から強烈な減塩&低コレステロール食をしているのでアルコールや肉食は、ほどほどにしかおつきあいできないのでその点だけあらかじめご了承ください。

2012年1月7日土曜日

入院中および療養中に読んだ本


療養生活(ニート生活)継続中です。すっかりダメ人間になって来週からちゃんと現場復帰できるか不安です。
頭の体操がてらに入院中に読んだ本の振り返りなど。

自分が入院した病院は病室での携帯、携帯ゲーム、パソコン一切禁止。
よって病室でできるのは本を読むかTVを見ることだけ。
事前に読む本をセレクトし入院前に全て購入して万全の体制で入院へ。
カミさんに「荷物減らせ」と咎められたが唯一の楽しみだったので重いを我慢して持ち込んだ。以下読んだ順に簡単レビュー。

■ミレニアム ドラゴンタトゥーの女(スティーグ・ラーソン)
手術前に読む。
2月にデビッド・フィンチャー監督でリメイクの映画が上映されるのでその前に読んでおこうと思いセレクト。
上巻は描写が冗長でどこが面白いのかと思ったが、主人公とハッカー女が出会う後半戦から面白くなる。
展開も二重三重にしてあって楽しめる。
かなり長編だがこれをどうやって映画に収めるのか?映画版が楽しみ。


■愛と幻想のファシズム(村上龍)
手術後ICUから出てきた日から読み始める。
先生に「もう本読めているんですか?回復早いですね」と言われたが熱で朦朧としながら読んでいた。話もカオス&暴力的なので熱でうなされながら読むのでちょうどよかったのかも。
円の価値が暴落し混沌としたリーダー不在の近未来の日本でファシズムを掲げる若きカリスマがのし上がる話。
「希望の国のエキソダス」と「昭和歌謡大全集」を足した感じ。つーかこの2作品が単なる焼き増しなのか。
弱者切り捨て強者だけが生き残るというポリシーがダーウィンの進化論にのせて語られているけど、ダーウィンの進化論は適者生存で強者生存じゃないじゃまいか?という疑問もあったりするけどまあいいか。
あと「狩猟社」「クロマニョン」「ザセブン」とかネーミングがいちいちダサい…。もうちっとカッコイイネーミングがあると思うんだが…。
硬直化したシステムを壊すために民衆が若きカリスマを求めているのは今の日本にも通じていることでそこの先見性は高いなぁ。
村上龍の最高傑作という人も結構多いがまあ確かにそうかもしれん。自分はバカらしい小説のほうが好きだが。

■ジェノサイド(高野和明)
今年のこのミス、文春のナンバー1なのでハズレはないだろうと思って読んだんですが…。
まあ面白いのは面白いんだけど、SF設定が甘いなぁ。あと登場人物がストーリーを説明するためのコマにしかなっていなくて感情移入ができない。日本とコンゴの二重構成にする必然性ってあるのか?
生化学の分野の情報は非常にディテールがしっかりしているんだけど、この小説も進化論のとらえ方がテキトーだなぁ。そんなに進化したアレなら保護しなくてもちゃんと生き残るだろう。ツッコミどころ満載すぎて鼻白む。
あと「ジェノサイド」ってタイトルは違うと思うけどなぁ。
最初書店に並んだ時に「映画化不可能」と帯にあったような気がするけど、別に映画化はできるだろう。
ただ展開とか描写が唐突すぎるのでそのまま映画化するとトンデモ映画になる気がする。

■日本沈没(小松左京)
1973年版映画はマイフェイバリットな映画ではあるが原作を読んでいなかった。
東日本大震災があった年に読むべきだと思い改めて読む。
これは世紀を超えて読まれるべき傑作。SF設定のディテール、日本人観、災害のディテールなど40年たった今でも色あせない。本当に素晴らしい。東京大震災後の復興で日本人が冷静に対応しているところや津波が海底のヘドロを巻き上げてどす黒いことなどディテールが冴え渡る。震災後に読むとディテールの確かさに舌を巻く。
有名な台詞「何もせんほうがええ」というのもこの原作版から入っている。
場面としては丹波哲郎のアツすぎる演技が秀逸な映画版のほうが好きだが、小説版はその意図も一緒に説明していて奥が深い。
映画版との違いは観客にわかりやすいようにするため場面と場面転換の整理と総理のキャラの肉付けくらい。内容的にはほぼ同じなので1973年版が傑作だったのは頷ける。平成版は「日本が沈没します」と言うこと以外は全部書き換えてしまったのでそりゃーダメになるわな。てゆーか平成版は沈没すらしないのか…。

■荒野へ(ジョン・クラカワー)
「愛と幻想のファシズム」の主人公鈴原冬二がしきりに「狩りは素晴らしい」「狩りこそ最高の快楽」「俺はあのヘラジカ」になりたいと連発するので、「これって『イントウザワイルド』の話に影響受けてるのかなぁ」と読んでみた。
しかし「愛と幻想のファシズム」が1986年に書かれていて、この小説の発端となる死体は1992年に発見されているので単なる偶然か。
内容は「アラスカの荒野にひとり足を踏み入れた青年。そして四か月後、うち捨てられたバスの中で死体となって発見される。その死は、やがてアメリカ中を震撼させることとなった。恵まれた境遇で育った彼は、なぜ家を捨て、荒野の世界に魅入られていったのか。登山家でもある著者は、綿密な取材をもとに青年の心の軌跡を辿っていく。全米ベストセラー・ノンフィクション。(「BOOK」データベースより)」映画『イントウザワイルド』の原作。
もの凄く簡単に説明すると恵まれた境遇の大学生が現代生活に嫌気がさしてアラスカの荒野で狩りをしながら旅をしていたら餓死した死体で発見されてしまいました、というお話。
自分も一人だけでだーれもいない山を登山しているとドキドキして猛烈に楽しいので気持ちはわからないではない。
一週間くらいヒマがあれば自分も東北の誰もいない山をちんたら歩いてみたい。東北の山は穏やかで人か少なくて無茶苦茶気持ちいいんだよなぁ。死ぬまでに大鳥池にもう一度行きたい。

■持ち込んだけど読まなかった本

◎ロンググッドバイ-村上春樹訳版。早川版は高校性の時に読んだ。話はすっかり忘れている。流麗で味わい深い日本語の村上版もいいのかもと思って買ってみたけど時間がかかりそうでヤメタ。

◎盲目の時計職人-リチャードドーキンス。「ブラインド・ウォッチメイカー」の改題新装版。15年前くらいに「ブラインド・ウォッチメイカー」読んでいたんだけど改めてダーウィンの進化論を勉強し直そうと思って再購入。途中まで読んだけど説明が冗長で挫折。しかし進化論の本ってどれも冗長じゃありません?「目の誕生」って本もそうなんだよなぁ。本題だけ書いたら1/3くらいで終わるんじゃね?と思う。

◎スティーブジョブズ 買ってはみたけれどマカーだった当時よりもジョブズに興味が薄れていて結局開きもしなかった。

◆総括
一番よかったのは「日本沈没」。「ミレニアム」は誰にでもお勧めできるベストセラー小説。
「愛と幻想のファシズム」は人を選ぶ。「ジェノサイド」はどーなんだろ。「荒野へ」は興味がある人だけ読めばいいかと。

共通したネタとして出てきたのがハッカー。「ミレニアム」「愛と幻想のファシズム」「ジェノサイド」の三つにハッカーが登場する。そんなに簡単にアメリカ軍のシステムとかハッキングできるの?魔法使いすぎてほとんどファンタジー。

もう一つの共通のネタがダーウィンの進化論。「愛と幻想のファシズム」「ジェノサイド」で引用されているけどなんか間違っている気がする。ダーウィンの進化論からすると機能が強化されることが進化ではなく、環境に適応したものが結果として生き残って進化するということのはずで、最も生き残る方法として正しいのは強くなることでも頭がよくなることでもなく多様性を維持することが正しい事だった気がするけど…。実際に現人類よりも脳の容量が大きかったネアンデルタール人は絶滅しているわけだし。

2012年1月4日水曜日

あけましておめでとうございます。


あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

未だ自宅療養中でございます。現場復帰予定は1月上旬を予定しています。
久々に長期のお休みですが病み上がりでできることが少なくてうつうつとしています。

昨年は大地震に手術にと公私共々激動の1年でした。
よくよく思い返したら42の後厄でした。そういえば厄除けもしてませんでした。
厄年というのは運勢というよりも「40前後で体調を壊す可能性がある」という、いにしえからの言い伝えだと自分的に解釈していたのですが、まさにその通り。

昨年の正月に大地震があって原発が爆発して、頭に穴開ける手術をすることになるなどとは全く予想してませんでした。いやあ人生って何が起こるかわからないですね。
よく人様に「マゾ」と言われる私でございますが、さすがに今年はしんどかった。
「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」といいますが、自覚症状がない脳動脈瘤という病気でもメンタルに与えた影響は大きかった。また失敗すると死ぬか障害が残る可能性があるクリティカルな手術を通して人生や家族のあり方などを再認識する機会でもありました。家族に多大な心配をかけている自分を思い、人生に於いて何が大切なのかを思わずにいられない今日この頃です。
「メメントモリ=死を想え」といいますが話はそれほどシンプルでもないなと。その辺はあれこれ今も思索中です。

今年の抱負はといいますと、これまで仕事の忙しさにかまけてお会いしてなかった人や遊びにお誘いをしてくれた人、古くからの友人そして家族と共有する時間を増やそうかと思います。
以前から「飲みに行きましょう」「メシに行きましょう」「温泉行きましょう」「登山行きましょう」「富士山登ろうぜ!」など様々なお誘いを頂いた皆様、順次お応えさせて頂きますのでよろしくお願いします。