2012年3月7日水曜日

『戦火の馬』とスピルバーグのオレ的ベスト


先週末に西新井のTOHOシネマのレイトショーで『戦火の馬』を鑑賞。

『戦火の馬』と『ヒューゴの不思議な発明』のどちらを観るかで迷ったが、自分はスコセッシよりスピルバーグが好きなので『戦火の馬』を観ることにした。ヒューゴは来週観よう。

『戦火の馬』は普通にいい映画でした。「普通においしい」と同じで変な日本語ではありますが。
第一次世界の戦争の荒波の中で、一頭の馬がそこで出会う人々に希望を与えていくという、実に優等生的というか、ソツがないというか、文部科学省が推薦しちゃいそうな映画。
よかったのはジャム農家の娘がカワイイのと、中間地帯でのイギリス兵とドイツ兵のやりとり。
中間地帯でのやりとりは、緊張感の中に、ユーモアと演出の弛緩の具合が絶妙な味わい深い良いシーンだった。

西部戦線のバトルシーンはヤヌス・カミンスキーの撮影も相まって、臨場感溢れるリアルな演出ではあったが、プライベートライアンの自己模倣な感じも否めず、もう一超えほしい感じ。唐突に戦車が出てきたところはスピルバーグぽかった。

しかしスピルバーグは自分が子供の頃から撮っているにもかかわらず、未だに第一線の監督というのがスゴイよなぁ。自分は最初に劇場で観た映画が『未知との遭遇』だったので、個人的な思い入れも強く、とても好きな監督。

ということで暇つぶしにスピルバーグ監督作品のオレ的ベストを並べてみた。
好きな監督はいいつつ全部は観てないのですが。


【1】ジョーズ
E.T.にするか迷ったけど自分的にはコレ。
モンスター映画として完璧。若干20代でこれが撮れるって、もう天才としかいいようがない。
今観ても全然古くなく、すでに何度も見ていて次のカットでサメが出るぞーとわかっていても、最後までみてしまう。

【2】E.T.
チャリコが空飛ぶだけでなぜか無茶苦茶感動する。まさに映画的奇跡。
脚本がどうのこうのとか映像技法がどうのこうのとか、そういう技術論を飛び越えたところに感動のポイントがある。20周年アニバーサリーバージョンは蛇足。

【3】プライベート・ライアン
冒頭30分のオハマビーチの戦闘シーンを映画館で観たときの衝撃いったらない。銀残しのざらついた映像と容赦のない残虐描写、そして抜群の音響効果設計でまさに戦場に放り込まれたかのよう。絶対に映画館で観るべき映画。これを家で観たらこの作品のすばらしさの1/10もわからない。映画史的に「プライベートライアン前と後」と区別されるほどその後の戦争映画に影響を与えた。ぶっちゃけた話「お話」はどーでもよく、冒頭30分にこの映画の価値が凝縮されている。


【4】宇宙戦争
スピルバーグが撮った怪獣&9.11映画。
突然訳分からない正体不明の奴に、訳も分からないままブチ殺される恐怖を描く。
とにもかくにもトライポッドの演出が素晴らしく、ブォオオオンという怪音と共に人類を皆殺しにする様はまさに怪獣。トライポッドの登場の仕方とか見せ方とかいちいち巧すぎ。完膚なきまでの破壊と皆殺しの背徳的な爽快感がたまらない。
港のシーンで逃げ惑う群衆の後ろからゆら~りとトライポッドが襲ってくるシーンとかうっとりしてしまう。一度でいいからゴジラ撮ってくれないかなぁ。

【5】レイダース/失われたアーク
インディシリーズの中では一番ワクワクする。

【6】未知との遭遇
日本の特撮番組を見ていた子供にとってこのVFXはとてつもなくリアルだった。
もう日本の特撮とか子供だまし(当時小学校1年生なんだけども)で見てられないとか思ったくらい。

【7】激突!
これも形を変えたモンスター映画。
モンスター映画のセオリーに従い、トラックの運転手が姿を見せずそれがさらに恐怖感を高める。
20代前半でこれが撮れちゃうってどんだけ天才なんだよ、と思う。

【8】ジュラシック・パーク
「生きている恐竜が見れるなんて!」と公開当時もの凄く感動した。

【9】ミュンヘン
地味だし一般の人はあまり知られてないけど個人的に好きな作品。
暗殺の仕方が妙に泥臭く、それが妙なリアリティを生んでいる。
おっぱいのさらしている女殺し屋の胸に仕込み銃で一発喰らわせるシーンの、胸のど真ん中に開いた傷から血がたらーっと流れるシーンのエロとグロと間抜けさがないまぜになっている感じが秀逸。
食事をテーマとした家族の描き方もよい。

【10】インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
ショーンコネリー出すのは反則だろ、って気がするが楽しいからいいか。

【11】インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
所謂ジェットコースタームービーの先駆けで、公開当時は超喜んで観たのを記憶しているが、後に何も残らないタイプの作品。

【12】戦火の馬
優等生的な作品過ぎるなぁ。

【13】A.I.
人類が全滅して数千年経った後の、絶望感というか、諦観というか、観客置いてけぼり感が好きです。

【14】マイノリティ・リポート
今となってはAR的な表現を一般的に使用した作品として有名ですが、公開当時はイマイチな評価でした。
ディックの原作とも違うし、プロットに穴があるし(義眼の判定とか)、いろいろと微妙。

【15】キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
映画としては面白いです。でもスピルバーグが撮る必要性ってあるの?

【16】続・激突! カージャック
2回観ているはずなのに全然内容覚えてねぇ。
ちなみに『激突』とは全く関係のないお話です。

【17】インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
クリスタル・スカルって言われたら、そうなんですよね?ああやっぱりそうなんですか、って感じの予定調和。シャイア・ラブーフはいいと思う。

【18】タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
インディをフルCG&3Dでやりました。以上!
アクションとかカメラワークとか物理的な制限を受けてないからスゴイはずなんだけど、圧倒的にアナログなインディのほうが面白いというジレンマ。

【19】トワイライトゾーン/超次元の体験
どんな話か忘れた。

【20】ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
2作目になって突然恐竜の扱いがぞんざいに。マイケルクライトンの原作とも大きく外れていて全体的にひどい。

【21】ターミナル
つまらなくないけど、これもスピルバーグがやる必然性がない。

【22】1941
いうほど駄作でもないが、面白いわけでもない。

【23】太陽の帝国
どんな話か忘れた。

【24】カラー・パープル
どんな話か忘れたけど、感動的な演出を無理矢理しているのだけ覚えている。


以下、観てない映画。「好きな監督だったら全部観ろ!」と思うが90年~95年くらいはつまらない雰囲気の作品が多くてパスしているのが多い。

【番外】シンドラーのリスト
長い、という理由だけでパスしている

【番外】世にも不思議なアメージング・ストーリー
見たような気もしているけど記憶がない。

【番外】オールウェイズ
スピルバーグに人間ドラマとか求めてないしなぁ、っていう。

【番外】フック
オッサンのロビンフッドなんて観る気がしないよ。やっぱり。

【番外】アミスタッド
この一連の社会派ぽいのは見る気になれない。社会派映画はいつも怒っているような人(80年代のオリバーストーンとか)そういう人がやればいいと思う。

【番外】刑事コロンボ/構想の死角
これはフィルモグラフィに入るの?

この機会に観てない作品つぶそうかな…。

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