2012年2月21日火曜日

『虐殺器官』を読んだ


血圧計ったら151の105だった。高いよ!
またイライラし始めたのが原因かなぁ。
夜更かしは血圧によくないのでこのエントリを2時までに書き終える!

虐殺器官
小説です。週刊文春の「人生モグラたたき」という漫画で紹介されていて面白そうだと思いAmazonでぽちって購入&読了。
箇条書きで簡単に紹介。

・作者伊藤計劃は肺がんで34歳の若さで死去
・本作の原型はゲーム「スナッチャー」をモチーフに書きかけて挫折した小説がベース。小島秀夫監督のメッセージが帯にあり。
・小島秀夫監督な熱狂的な信者。
・ベストSF2007国内編第一位。
・ゼロ年代ベストSF国内編第一位。

あまり国内SF小説を読まないので水準がいまいちわからないのだが、科学的な理屈をベースにしたSFという意味ではかなりちゃんとしているように思える。特に進化論の考察は最近読んだ『ジェノサイド』よりもこちらのほうが「自然淘汰」の理解が正しい。
本文の中で人間がほかの類人猿に勝ち、最終的に生き残った理由として「助け合う」ことをあげていて、「必ずしも強い者が生き残るわけではなく、結果的に環境に適合したものが生き残る」という自然淘汰の正しい解釈がされている。

主人公の設定がMGSのソリッドスネークよろしく特殊部隊の戦闘員なのだが、この手の冒険小説的主人公の一人称の「オレ」ではなく「僕」であるのがとても新鮮。
凄惨なバトルシーンも「僕」と表記するだけで、冷静でどことなく冷めたそして少しのユーモアをたたえた絶妙な雰囲気になっている。これは単純だけどあまり見ない手法ですごい。

そして「虐殺」に至るロジックと「虐殺する理由」もおもしろい。
なんとなく「世界の中心で愛を叫んだけもの」的な雰囲気もあるけども。

なかなか良い小説だったのでもう一つの「ハーモニー」も読んでみようかと思う。

んで書き終えたのは2時5分でした。


2012年2月13日月曜日

『ドラゴンタトゥーの女』とデヴィッド・フィンチャーのベスト


デヴィッド・フィンチャーは好きな映画監督の一人だ。
ということで『ドラゴンタトゥーの女』を観た。原作は既に読了済みの状態で鑑賞。


原作の映画化という点では非の打ち所がない完璧さ。モンタージュや場面転換の精密さが凄まじく1シーンで二つの事象を描写するとか当たり前。考え抜かれた脚本に舌を巻く。

例のごとくオープニングも無茶苦茶カッコイイ。
これをパクる映像が出てきそう。

完成度としてはほぼパーフェクトな出来なんだけども、いかんせん原作があるので、原作のパフォーマンスを大きく超えてきてはいない。

また、もの凄い情報量とスピードで進行するので、原作未見だと登場人物が整理しきれないだろう。もしこれから観る人は原作を読んだ方がよいと思う。

まあ原作(小説)を超えるような映画化というのは滅多にないので、この出来でも相当評価はされるが。
原作を超えた映画化って「砂の器」とか「羊たちの沈黙」とかだろうか自分的に印象に残っているのは。

じゃあどれくらいフィンチャーの映画の中で評価してるのよ、っていうことでランキングしてみた。

1位:ファイトクラブ
2位:ソーシャルネットワーク
3位:セブン
4位:ドラゴンタトゥーの女
5位:ゲーム
6位:ゾディアック
7位:エイリアン3
8位:パニックルーム
9位:ベンジャミン・バトン※未見

並べてみると『ドラゴンタトゥーの女』は意外と評価しているんだな

最初に観たのは「エイリアン3」だが、注目し始めたのは「セブン」から。
「セブン」は冒頭からずーっと雨のシーンが続くのだが、物語のクライマックスを伴って突如カラっと晴れ上がる。そのシーンの素晴らしさに驚愕し、「この監督は凄い奴だ」と確信しずっと見続けている。
その後の活躍はご存じの通り。やっぱり凄い奴は、凄いまま生き残るんだよな。

2012年2月4日土曜日

脳動脈瘤の手術をした・セカンドオピニオン編


脳の手術をするならば基本的にセカンドオピニオンを受けた方がよいです。
また部位がクリティカルなので術数が多い病院で受けましょう。データはWebや本で調べればわかります。
セカンドオピニオンは通常の診療とは違うので大体2万円前後くらいかかります。ただ病院によっては診療扱いにしてくれるところもあります。

自分はWebや精密検査を受けた病院の先生などから聞いて「年間の手術数が100以上」「都内」「開頭手術をメインにやっている」を条件に調べました。自分の動脈瘤は素人目にもカテーテル手術は無理だと思ったので開頭をメインにしている病院を選んでいます。
最初のセカンドオピニオンはT大学病院に。

その時点の自分内の要点としては発生するリスクをどう見積もるか?ということでした。要点は二つ。

①手術のリスク(某かの後遺症が残る)
②破裂してくも膜下出血となる可能性

②のほうはぶっちゃけ本当に確率的なので判断のしようがない。
①のリスクがどの程度さえわかればいいので手術のリスクについてできるだけ詳細に聞こうと考えました。
回答の精度を上げるためにアジェンダ(質問表)を用意して臨みました。


■最初のセカンドオピニオン・T大学病院
セカンドオピニオンを受ける場合は最初に診察してもらった病院から紹介状とMRIのフィルムや画像のCD-ROMを受け取り、それを元にお話をします。

○手術するべきか、経過を見守るべきか?
42歳で5mm大の動脈瘤であれば手術をするべき。
くも膜下出血になった場合、最悪のケースとして手術できないケースがある(脳圧が上がって手術不可能になる)。また後遺症も出やすくその後の自身および家族の人生を棒に振ることにもなりかねない。60歳以上であれば経過を見守るケースもあるが40代の場合、くも膜下出血になった場合のリスクが大きい。動脈瘤の場所も手術的には難しくないので手術するべきだ。

○治療するとすればやはり開頭手術か?
場所が動脈の分かれ目にあり、なおかつ開口部が大きいためカテーテルでプラチナの糸を入れたとしても糸が出てくる可能性があり脳梗塞のリスクがある。手術するならば開頭してチタンクリップでとめる処置をする。
またクリップ手術であれば根治でき、その箇所で再発する可能性はほとんどない。

○手術する場合に具体的にどのようなリスクがあるのか?(瘤の大きさ、位置などによる手術の難易度)
動脈瘤の位置は右こめかみの表層から2cmの箇所。
動脈瘤の手術をする場合は頭蓋骨に穴を開け、脳の裂け目から顕微鏡を分け入って手術をするがこの場所は浅い場所なので到達するには難しい箇所ではない。
しかし血管の付近に運動を司る脳への細かい血管があるため、その血管をあやまって塞いでしまうのがリスクになるが、今は血流が通っているかを調べる検査機器などがあるので大丈夫。

○具体的なリスクを避けるためにどのような術式をとっているのか?
1mm以下の血管でも血流が通っているかどうかを調べられる検査機器や血流を特殊な薬で浮きだたせるなど血管を塞いでしまわないように検査しながら手術を進めるので麻痺が残ると言うことはほとんどない。また術中に運動機能に反応があるかのテストもしている。

○入院期間とその後の自宅療養期間
なにも問題がなければ手術前3日、手術後10日程度の入院。2week程度の自宅療養。


T大学の見解をまとめると「手術はやるべき。また手術を失敗する可能性はほぼない」とのこと。
さらに確証を得たいので公立S病院で再度セカンドオピニオンを受けてみるが見解はほぼT大学と同じ。

二つの病院で「手術すべし」という見解を得たので手術をする決心をする。

(手術編に続く)

脳動脈瘤の手術をした・精密検査編

【セカンドオピニオン用のCDROMに入っていた精密検査の画像】


平成23年7月中旬にJ大学に造影剤による精密検査を受けるために入院。

■1日目
AM10時より入院。
股の付け根よりカテーテルを入れるため下の毛をバリカンで剃るように看護士さんより指示。
入院前に言ってくれれば剃っておくのに…と思いつつバリカンで剃る。看護士さんによる目視のチェックが恥ずかしい。
さらに血栓防止のため弾性ストッキングの購入も指示。
シャワーにも入っておくように指示される。
それ以外は血圧、体温の測定以外は特になし。

■2日目
カテーテルの検査。10時くらいに手術室に移動。
局部麻酔による検査開始。
カテーテルが血管に挿入されるが全く感覚はなし。ただ挿入口の部分は時々痛い。
先生のかけ声で造影剤が血管に投入される。指定された部位がカッっと熱くなる。
なんのかんので1時間くらい撮影。
その場で3DCGによる瘤の画像が生成される。
最初の先生の一声「根治させるならば開頭したほうがよいですね。一応カテーテルの先生にも聞いてみますが」
画像を見ると瘤の開口部が広く、素人の自分が見ても「カテーテルは無理かなあ」と思う。
精密検査後は大腿の動脈にカテーテルを通したため止血のため寝返り禁止4時間と言われる。
この寝返り禁止4時間というのが辛い。検査途中からすでに背中から腰が痛くなり始めていて病室に戻ったときにはすでに強烈な腰痛が。体を絶対に動かしてはいけないので筋肉を伸ばすことができず、どんどん腰が痛くなる。
安静にしているのがこれほど辛いことだとは思っていなかった。


■3日目
検査の結果はチームで検討してからお話ししますということで支払いを済ませて帰る。
費用は約8万円。

■検査結果
J大学の見解。
詳細な血管の撮影の結果から、瘤の大きさは4mm~5mmの間。瘤の開口部が広がっているためカテーテルでプラチナのワイヤーを挿入しても出てきてしまう可能性があり、カテーテルによる治療はできない。よって治療するとすれば開頭手術をするしかない。
しかしながら手術をすることによる合併症等のリスクは3%~5%、今の瘤の位置の大きさを鑑みると破裂する可能性は今の所は1%以下の0.5%程度だと考えられる。リスクを鑑みると手術するのではなく定期的に経過を見たほうがよいと判断します、とのこと。
順天堂大学医院の所見は「経過を見る」ですが他の病院では「手術したほうがよい」と判断される病院もあるかもしれません。ですのでセカンドオピニオンを受けることをオススメします、と言われる。


手術したいと思っていたのに開頭による手術にはリスクがあると言われてビビる。
そして頭を爆弾を抱えたまま、この先どうすれば良いのかを思い凹む。
病気の発生が確率の雲の中にあるので判断が難しく、この見解には正直かなり陰鬱な気持ちになった。
しかし、「セカンドオピニオン」の勧めがあったので開頭手術の術数が多い病院を調べ、そこにセカンドオピニオンに行くことにする。

(セカンドオピニオン編へ)