2014年11月24日月曜日

インターステラー感想

「インターステラー」を木場のIMAXで鑑賞。
2014年の映画ナンバーワン確定でしょうか。
感動して泣きました。
年取って涙腺が緩んでいるせいもありますが、ボロボロ泣きました。

「エキスタンブルズ3」も見たけど「インターステラー」で全部吹っ飛んだ。
「エキスタンブルズ3」は中高生だった頃にアクション映画で熱くさせてくれたスターロン先生およびお友達へのお布施ということで。

というわけで感想。全力でネタバレです。














■とりあえず箇条書き

事前情報を自ら完全シャットダウン。
見たのは予告編だけ。
予告編からすでに「2001年宇宙の旅」を意識している感はバリバリあったが、ストーリーは思っていたほどにはそちらには流れなかった。

少女期のマーフィー役のマッケンジー・フォイがとてもよい。美人で端正かつ知性を感じる。この役にドハマリ。凄い逸材だと思う。この娘が余りに素晴らしくて壮年期のジェシカ・チャステインさえかすむ。

ワームホールは球形なのか!
ヤマト2199的なワームホールを想像していたら、思いも寄らない映像でびびった。

相対性理論的なウラシマ効果や多次元宇宙的な話は各種SF小説で語られていることなのでさほど目新しいものではないが、よくよく考えてみるとちゃんとやっているのって「トップをねらえ!」くらいなのか?
ブラックホールの近辺では重力が重いために時間がゆっくり流れるという表現は映画では初めて?※相対性理論をちょっと勉強すれば常識だけど。

CASEとTARSのデザインが秀逸。
台詞やジョークも絶妙。
2001年のモノリスとHAL9000に目配せしつつも、何にも似てないオリジナル感。
ついでにRD2Dもリスペクト!
てくてくとしか歩けないかと思ったら、緊急時にはかっ飛ばすし。
スマホスタンド型のフィギアとか出ないかな。

■まとめとこの作品のテーマ

「2001年宇宙の旅」は2014年の未だにおいてもその光を失わない揺るぎない傑作で、この映画を超えるSF映画というものはたぶん自分が生きている間にはお目にかかれないだろう。
しかし「インターステラー」は一部のテーマ性において2001年を超えたというか、今風の考え方にアップデートされている。

それは未知の高次知性生命体に誘ってもらって問題を解決したり、進化するのではなく、人類自らの手で問題を解決している点。

未知の知的生命体に手助けされていると思われていたワームホールでさえ、クライマックスのクーパーの台詞で否定される。未来の自分達人類がこれを作ったんだと。未来の人類は重力をコントロールし時間も制御できるはずだと。

60〜80年代のSFは宇宙に別の知的生命体がいて、それが神的な存在として人類を誘ってきた的なプロットが多く、「2001年宇宙の旅」や傑作SF小説の「幼年期の終わり」もその範疇に入る。

これまでは未知の生命体に会いに行くことが冒険だったわけだが、この作品では自らの未来を、運命を切り開くために冒険をする。

人間としての生存本能を賭けて、最大限の抗いをする。

これは作品とテーマとして明確でそれが「ディラン・トマスの詩」で表現される。

Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;
Rage, rage against the dying of the light.
穏やかな夜に身を任せるな
老いても怒りを燃やせ、終わりゆく日に
怒れ、怒れ、消え行く光に


マン博士にヘルメットを破壊され、アンモニアに窒息なりそうな場面でもこの詩が流れる。なんとしても生きる。生きて帰る。生きて帰って娘に会う。
クーパーは歯を食いしばり、どんな絶体絶命の状態でも前進しようと抗う。
クーパー=人類の前進するための生存本能と娘への愛の物語のベクトルがガッチリ一致してドラマをドライブする。

SFなのにもの凄く泥臭いのがよいのだ。地を這いつくばって生きる努力をする。
プリミティブな意味での生存。生存とは何か、生きるとは何か、そのギリギリの縁で何ができるのか?それが作品を通じて問い続けられる。

「2001年宇宙の旅」に血の通った人間は出てこない。登場人物は全て冷え冷えとして人間的ではない。「インターステラー」にはクーパーとマーフィーという父と娘が登場し、これが物語の軸をドライブする。時空を超えて父と娘が再会する場面は、SF映画という括りではなく人間ドラマとしての圧倒的な感動がある。

ノーランは「2001年宇宙の旅」の「人間不在」という弱点を正確に射貫き、70年代的SF世界観にしばられていたSF映画を見事にアップデートした。

PS.人類滅亡を人類自ら解決する系ではアーサー・C・クラーク「太陽系最後の日」がそうだったような気がするが、大昔に読んでストーリーを忘れてしまった。読み直すか。

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