2011年10月10日月曜日

初めて買ったコンピュータ


初めて買ったコンピュータ

スティーブ・ジョブズが10/6永眠した。
彼の死を悼んでということで、自分が最初に購入したコンピュータについて書いてみる。

自分が最初に購入したコンピュータは1993年の夏に購入したMacintosh Power Book 108cだ。
社会人一年生でもらった15万円のボーナスと貯金をはたいて20数万円(25万円?)で購入した。

自分は社会人になるまで自分のコンピュータは持っていなかった。
最初に触ったコンピュータは大学の卒業研究で使ったNECのPC98(型番忘れた)とSunのSparkstation。
せっかくコンピュータの勉強するのだから自分用に購入しようか?と思ったが、その当時は朝から晩まで研究室で作業をしていたし、研究室に自分用のマシンがあったので必要ないと考えて買わなかった。

そもそもの話をすると当時自分はコンピュータの仕事をするつもりではなかった。
その当時は映像関係の仕事をしようと考えていたので、コンピュータの勉強をするようになったのはたまたま偶然が重なったに過ぎない。この辺の事情はそのうちまた別の機会に書く。

使用していたマシンはPC98とSunなのでOSはMS-DOSとUNIX。
泣く子も黙るCUI(コマンドラインインターフェース)のOS。
SparkstationにはOpenWindowsっていうGUIがのっていたけど使える代物ではなかった。
最初にcd,cp,lsあたりのコマンドから憶えていったのだが、その時の衝撃たるや忘れられない。

「え?CD?チェンジディレクトリ?いちいちタイプしないと動かないの?」

コピーするにもいちいちファイル名を指定しなきゃいけないし、コンピューターとは何て恐ろしくに使いにくいのだろうと気が狂いそうになったものだ。
最初の数ヶ月は嫌で嫌でたまらなかったのだが、とはいえ我ながら生存適応能力だけは人一倍高いので数ヶ月触っているうちに慣れた。まあ、そういうもんかと。

そんなこんなで悪戦苦闘しながら卒研の論文作成をしていたある日、ドクターコースを受けている三井建設の方が卒論の確認のために研究室に来た。
その人に論文を見せてもらったのだが、その論文のプリントの図版やフォントが市販の印刷のように美しかったので、「この図とか何で書いたんですか?スゴイきれいじゃないですか」と聞いたら、その人がおもむろにカバンか取り出したのがMacintoshのPowerBook!!
その筐体のデザインが素晴らしくカッコよかったこと!!

その当時のワープロといえばJustsystemの一太郎。しかしその当時の一太郎は段組や図版のレイアウトなどはできなかったので、自分は卒論を書くためにテキストと図版を別々にプリントし、それをスプレー糊で切り貼りして卒論を作っていた。
そんな泥臭い作業などせずに、一発で美しいドキュメントが作れるなんて何てエレガントなんだ!と感動し、「コンピュータを買うならMacにしよう」と心に決めたのであった。

卒業してから初めて入った会社はTV番組製作会社。
その会社にはMacのエバンジェリストみたいな役員の方がいて、そのため会社のPCは全てMac。
Macに触るのはこのときが初めてだったのだが、GUIのエレガントさにびっくりした。
これまで自分が触ってきたコンピュータとは比べものにならないくらい使いやすい。
ファイルはドラックアンドドロップでコピーできるし、ファイルをダブルクリックするだけでアプリが立ち上がる。WYSIWYGで表示されているものと印刷が同じ。フォントは綺麗。
一体自分が使ってきたコンピュータってなんだったんだと(SunのSpark使っていたのにこんなこと言ったら怒られそうだけど)。こんなに使いやすいコンピュータがあるんじゃないか、と感動しまくってボーナスで絶対に買うぜ!!と決めて買ったのがMacintosh Power Book 108c。

その後はいわゆる「マカー」一直線。
「マカー」のならわしとしてAppleの歴史を勉強するものお約束。
その流れでスティーブ・ジョブズという人物を知った。
いろいろと本も読んだりしたのだが最も印象に残っているのが『マッキントッシュ物語―僕らを変えたコンピュータ』という本。廃版になっているけどAmazonなどで古本が買える。

Macintoshの開発にまつわる話をジョブズを軸に語っているのだが、その内容が実にエキサイティングでおもしろい。Altoからいただいた話や、アイコンなどに異常にこだわるエピソード、ジョブズの傍若無人な振る舞いなど、どれもが面白すぎる。あんまし面白いので3回くらい繰り返して読んだ。

その当時の読後感として「こんなオモロイプロジェクトに参加できたら幸せだなぁ」と思った。たとえリーダーが傍若無人のキチガイ野郎でも、完成したプロダクトが革命的であれば作っている奴は十分過ぎるほど満足する。


ただこの当時はAppleを追い出された後だったので世間的な評価は今よりも低かったと思う。
世間的な評価としてはApple復帰後のジョブズの功績が評価されていると思う。まあtwitterとかブログ見ててもそんな感じだ。

しかし、自分の中ではこの本の影響もあって『ジョブズ=Macintoshを作った人』というイメージが強い。プロダクトとしてもiPhoneよりもMacのほうが好きだ。
プロダクトの出来としてもiPhoneのほうがジョブズの思い入れが隅々まで行き届いていて、よりジョブズらしいといえるかもしれないが、なんとなくMacのほうが好き。理由はない。なんとなくだ。

Macは2000年以降くらいから使うのをやめてしまった。
コーシューマーゲームで仕事する場合、開発マシンはWindouwsが基本だし、手がWindowsに慣れてしまったので。
iPhoneの開発のため時々MacOSXは使うが、インターフェースががらりと変わってしまったので使いづらい。個人的には漢字Talkのころのほうが直感的だったような気がする。まあ疑似マルチタスクでもの凄い不安定だったけれども…。
まあ一週間くらい使い続ければ慣れると思うけど。

その当時のMacを使っていた自分からすると世の中からこれほどまでにジョブズが評価される日来ることがあるなんて思ってもみなかった。
いきりなり思い出したように「Stay hungry, Stay foolish」とか「think different」言い始めたしねw


Macを使い始めた時のことを思い出すとその当時のワクワク感も一緒に思い出す。
アレと同じワクワク感をその後味わったかというとあまりない。iPhoneでもそれはなかった。

もう一度あのワクワク感をあるプロダクトを作れる可能性がある人を失ったことはとても残念です。
ご冥福をお祈りいたします。

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