2012年3月11日日曜日
脳動脈瘤の手術をした・手術編
手術の数日前から退院までをサマリー。
入院予定日は12/9"頃"。なぜ"頃"なのかといえば、病床の空き状況によって入院日が変動するから。
入院日が確定するのは前日電話がかかってきて確定する。
12/9の朝9時30分に連絡があり12/10(土)で確定
■1日目(12/10) 入院
9時30分に入院手続き。
病室に移動して病室の説明を受ける。
ここで手術日が12/14ではなく一日繰り上がり13日になったことを知らされる。
家族の説明や手術の立ち会いがあるので家族に連絡。
この日は精密検査を一通りおこなう。
頭部CT、頭部レントゲン、血液検査、心電図、呼吸機能検査、麻酔医の診断など。
ほぼ午前中に終わり、午後は何もすることはなし。
■2日目(12/11)
日曜日なので検査などはなし。何もすることなく待機。
日曜日なのでほかの患者さんのお見舞いが多い
■3日目(12/12)
麻酔医、手術担当の看護師よりいろいろ説明。
主に麻酔から覚めたときなどについて。21以降は食事も水もNG。
夕方に先生から家族を交えての手術の説明があるので待機。
16時くらいの予定が大幅に伸びて18時くらいに。
先生の説明はセカンドオピニオン時の説明とほぼ同じで新しい説明はなし。
■4日目(12/13)手術日
7:40ごろ 歩いて手術室へ
8:30ごろ 手術室の入り口で待機。入念に本人確認される。
手術室は何室もあり、さながら本番前のTV収録スタジオのような忙しさと緊張感。
9:00ごろ? さらに歩いて一番奥にある手術室へ移動。手術室に入る前に「器具とかがすごくてびっくりしてしまう患者さんがいますけど、怖がらないでください」と一言言われてはいるが、「脳手術なんだから、設備が物々しいのは当然だろ」と思っていたので特に驚きもせず。確かに凄い設備ではあったが。
看護師さんに促されて自ら手術台に寝る。手術台から落ちないように腕などをベルトで止められる。
点滴針、心電図や酸素濃度計などがてきぱきと取り付けられていく。
手術台に寝てから5分もしないうちに「では麻酔の薬をいれますね。腕がすこしチクチクしますよ~」と言われ30秒もしないうちに意識を失う。
次に目覚めたのは自分の記憶では確か15時くらい。すでにICUに移動。
看護師さんに「ここドコですか?」と聞く。※その後の記憶なし。
実際は13時くらいに一度覚醒し「苦しい、痛い」とうなされていたらしいが全く記憶にない。
16時くらいに再度覚醒し、看護師さんに「お名前、年齢、手術した年月日」を聞かれる。当たり前のように答える。また足と腕が動かせるかのチェックもおこなう。普通に動いた。
とりあえず手足に麻痺などは残っていないようだ。よかった。
普通にしゃべれるし、手足も動いたのはいいが、とにもかくにも「痛い」し「苦しい」。
「痛い」のは頭の傷と腰。腰が痛いのは体中に管をつながれていて身動きができず、筋肉が緊張してしまっているため。「苦しい」のは熱とのどの渇きと酸素マスク。
のどの渇きを訴えたが、しばらくは水は飲めないということで我慢を強いられる。
酸素マスクはつけていると息苦しいので外していると、血中酸素濃度が落ちてモニタリング機器がエラー音を出すため外すに外せない…。
とにもかくにも痛くて苦しい。早く楽になってICUを出たいと思うが、自分の想像以上に時間の流れが遅く感じられてなかなか朝にならない。
覚醒するたびに看護師さんに例の本人確認質問と「痛くないですか?吐き気はないですか?腕のしびれとはないですか?」と聞かれる。痛いので痛み止めを点滴してもらう。
3時頃目をさますと吐き気が感じられたので看護師さんに「気持ち悪い」と訴える。
ここで変な後遺症でもあるんじゃないかと心配になり「なんで吐き気をもよおすのか?」と聞いてみたところ「全身麻酔の副作用で吐き気があるんです」と言われる。
ビニール袋をもらって吐こうとしてみたけれど胃袋が空っぽらしく何も出ず。しばらくしたら吐き気は収まった。
■5日目(12/14)手術日翌日
6時頃に目が覚めると看護師さんに「歯をみがきましょう」と言われる。
ICUでなんでわざわざ歯磨きなんかするんだよ?と不思議に思ったので看護師さんに聞いたところ「口の中に人工呼吸器や管などを差し込んでいて雑菌が入っているのです。水を飲む前にその雑菌を消毒するために歯磨きをしてもらうのですよ」と説明された。なるほど。
先生からCTを撮って問題がなければ一般病室に戻れますと言われる。
CTを撮ってみたところ特に問題ないということで一般病室へ移動。
一般病室へ移動したが尿道に管がつながったままなので立ち上がりはNG。
大便をする場合は看護師さんに手伝ってもらわないといけないのだが、自分の場合は手術前の絶食が効いたのか便意を催すことがなく恥ずかしい思いをせずに済んだ。
昼食を看護師さんが運んでくれた。おかゆと焼き魚。
がしかし、熱があるせいか全く食欲なし。食欲なしというか、満足にのどに通らない。
出されたモノはきちんと食べようと思い、意地で食べようと試みるも焼き魚を全部食べるのがやっと。
後片付けにきた看護師さんに「魚全部食べたんですね。すごいですね」と言われたが「何がすごいんだ?」とその時は思ったのだが、その後手術後の他の患者さんを見ているICUから出てきた日にゴハンを食べていた人は誰もいなく(熱や痛みでそれどころじゃない)、食べられるだけでも相当なことらしい。
それと頭の筋肉を切っているため、口を開けると痛い。
数日である程度は開けるようになるが、退院後しばらくはハンバーガーなどを食べるのがかなり辛い。
■12/15 手術から二日目
熱が下がらず朦朧とする。傷の痛みと頭痛があるので鎮痛剤(ロキソニン)を飲む。
薬を飲んでも熱が下がらないのでアイスノンで脇の下を冷やす。
傷がある右側が腫れはじめ、右目が見えないくらいになる。
■12/16
前日よりは熱が下がってきた。
■12/17
傷の痛みや頭痛はあるが、熱は引く。
傷口の包帯をとってもらう。27針打ち込まれたステッブラー(ホチキス)のおぞましさに引く。
メールとか食事とか通常と違う作業をするとなぜか大汗をかく。体がまだ普通の状態には戻ってないらしい。
会社のスタッフがお見舞いにきてくれた。
■12/18
日曜日なので何もない。
■12/19
先生から12/21に退院できると言われる。
特に変化なし。
■12/20
特に変化なし。
夜に抜鉤(ばっこう)してもらう。※ホチキスは抜糸ではなく抜鉤というそうだ。
■12/21
最後に先生からの病状の説明を聞いて退院。
特に目新しいことは言われなかったが、ここで初めて手術中の自分の脳の写真を見せられる。
動脈瘤は4つくらいのザクロ状のクラスタを形成していてかなり不定形。
不定型な瘤ほど破裂しやすいのは、先生からも説明を受けていたので聞いてはいたが、水ぶくれのような水疱を予想していたので、そのグロテスクな形状に戦慄する。
結局手術後一週間で退院してしまった。
頭の手術をしたのに一週間で退院できてしまうとは、現代の高度医療恐るべしである。
2012年3月7日水曜日
『戦火の馬』とスピルバーグのオレ的ベスト
先週末に西新井のTOHOシネマのレイトショーで『戦火の馬』を鑑賞。
『戦火の馬』と『ヒューゴの不思議な発明』のどちらを観るかで迷ったが、自分はスコセッシよりスピルバーグが好きなので『戦火の馬』を観ることにした。ヒューゴは来週観よう。
『戦火の馬』は普通にいい映画でした。「普通においしい」と同じで変な日本語ではありますが。
第一次世界の戦争の荒波の中で、一頭の馬がそこで出会う人々に希望を与えていくという、実に優等生的というか、ソツがないというか、文部科学省が推薦しちゃいそうな映画。
よかったのはジャム農家の娘がカワイイのと、中間地帯でのイギリス兵とドイツ兵のやりとり。
中間地帯でのやりとりは、緊張感の中に、ユーモアと演出の弛緩の具合が絶妙な味わい深い良いシーンだった。
西部戦線のバトルシーンはヤヌス・カミンスキーの撮影も相まって、臨場感溢れるリアルな演出ではあったが、プライベートライアンの自己模倣な感じも否めず、もう一超えほしい感じ。唐突に戦車が出てきたところはスピルバーグぽかった。
しかしスピルバーグは自分が子供の頃から撮っているにもかかわらず、未だに第一線の監督というのがスゴイよなぁ。自分は最初に劇場で観た映画が『未知との遭遇』だったので、個人的な思い入れも強く、とても好きな監督。
ということで暇つぶしにスピルバーグ監督作品のオレ的ベストを並べてみた。
好きな監督はいいつつ全部は観てないのですが。
【1】ジョーズ
E.T.にするか迷ったけど自分的にはコレ。
モンスター映画として完璧。若干20代でこれが撮れるって、もう天才としかいいようがない。
今観ても全然古くなく、すでに何度も見ていて次のカットでサメが出るぞーとわかっていても、最後までみてしまう。
【2】E.T.
チャリコが空飛ぶだけでなぜか無茶苦茶感動する。まさに映画的奇跡。
脚本がどうのこうのとか映像技法がどうのこうのとか、そういう技術論を飛び越えたところに感動のポイントがある。20周年アニバーサリーバージョンは蛇足。
【3】プライベート・ライアン
冒頭30分のオハマビーチの戦闘シーンを映画館で観たときの衝撃いったらない。銀残しのざらついた映像と容赦のない残虐描写、そして抜群の音響効果設計でまさに戦場に放り込まれたかのよう。絶対に映画館で観るべき映画。これを家で観たらこの作品のすばらしさの1/10もわからない。映画史的に「プライベートライアン前と後」と区別されるほどその後の戦争映画に影響を与えた。ぶっちゃけた話「お話」はどーでもよく、冒頭30分にこの映画の価値が凝縮されている。
【4】宇宙戦争
スピルバーグが撮った怪獣&9.11映画。
突然訳分からない正体不明の奴に、訳も分からないままブチ殺される恐怖を描く。
とにもかくにもトライポッドの演出が素晴らしく、ブォオオオンという怪音と共に人類を皆殺しにする様はまさに怪獣。トライポッドの登場の仕方とか見せ方とかいちいち巧すぎ。完膚なきまでの破壊と皆殺しの背徳的な爽快感がたまらない。
港のシーンで逃げ惑う群衆の後ろからゆら~りとトライポッドが襲ってくるシーンとかうっとりしてしまう。一度でいいからゴジラ撮ってくれないかなぁ。
【5】レイダース/失われたアーク
インディシリーズの中では一番ワクワクする。
【6】未知との遭遇
日本の特撮番組を見ていた子供にとってこのVFXはとてつもなくリアルだった。
もう日本の特撮とか子供だまし(当時小学校1年生なんだけども)で見てられないとか思ったくらい。
【7】激突!
これも形を変えたモンスター映画。
モンスター映画のセオリーに従い、トラックの運転手が姿を見せずそれがさらに恐怖感を高める。
20代前半でこれが撮れちゃうってどんだけ天才なんだよ、と思う。
【8】ジュラシック・パーク
「生きている恐竜が見れるなんて!」と公開当時もの凄く感動した。
【9】ミュンヘン
地味だし一般の人はあまり知られてないけど個人的に好きな作品。
暗殺の仕方が妙に泥臭く、それが妙なリアリティを生んでいる。
おっぱいのさらしている女殺し屋の胸に仕込み銃で一発喰らわせるシーンの、胸のど真ん中に開いた傷から血がたらーっと流れるシーンのエロとグロと間抜けさがないまぜになっている感じが秀逸。
食事をテーマとした家族の描き方もよい。
【10】インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
ショーンコネリー出すのは反則だろ、って気がするが楽しいからいいか。
【11】インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
所謂ジェットコースタームービーの先駆けで、公開当時は超喜んで観たのを記憶しているが、後に何も残らないタイプの作品。
【12】戦火の馬
優等生的な作品過ぎるなぁ。
【13】A.I.
人類が全滅して数千年経った後の、絶望感というか、諦観というか、観客置いてけぼり感が好きです。
【14】マイノリティ・リポート
今となってはAR的な表現を一般的に使用した作品として有名ですが、公開当時はイマイチな評価でした。
ディックの原作とも違うし、プロットに穴があるし(義眼の判定とか)、いろいろと微妙。
【15】キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
映画としては面白いです。でもスピルバーグが撮る必要性ってあるの?
【16】続・激突! カージャック
2回観ているはずなのに全然内容覚えてねぇ。
ちなみに『激突』とは全く関係のないお話です。
【17】インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
クリスタル・スカルって言われたら、そうなんですよね?ああやっぱりそうなんですか、って感じの予定調和。シャイア・ラブーフはいいと思う。
【18】タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
インディをフルCG&3Dでやりました。以上!
アクションとかカメラワークとか物理的な制限を受けてないからスゴイはずなんだけど、圧倒的にアナログなインディのほうが面白いというジレンマ。
【19】トワイライトゾーン/超次元の体験
どんな話か忘れた。
【20】ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
2作目になって突然恐竜の扱いがぞんざいに。マイケルクライトンの原作とも大きく外れていて全体的にひどい。
【21】ターミナル
つまらなくないけど、これもスピルバーグがやる必然性がない。
【22】1941
いうほど駄作でもないが、面白いわけでもない。
【23】太陽の帝国
どんな話か忘れた。
【24】カラー・パープル
どんな話か忘れたけど、感動的な演出を無理矢理しているのだけ覚えている。
以下、観てない映画。「好きな監督だったら全部観ろ!」と思うが90年~95年くらいはつまらない雰囲気の作品が多くてパスしているのが多い。
【番外】シンドラーのリスト
長い、という理由だけでパスしている
【番外】世にも不思議なアメージング・ストーリー
見たような気もしているけど記憶がない。
【番外】オールウェイズ
スピルバーグに人間ドラマとか求めてないしなぁ、っていう。
【番外】フック
オッサンのロビンフッドなんて観る気がしないよ。やっぱり。
【番外】アミスタッド
この一連の社会派ぽいのは見る気になれない。社会派映画はいつも怒っているような人(80年代のオリバーストーンとか)そういう人がやればいいと思う。
【番外】刑事コロンボ/構想の死角
これはフィルモグラフィに入るの?
この機会に観てない作品つぶそうかな…。
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