2015年11月29日日曜日

映画『007 スペクター』

文芸作品かよ、と思うくらい格調高い撮影(褒め言葉)で全く007ぽくないクソ真面目なサム・メンデス演出は健在だが、今回は少し洒落っ気があったので楽しめた。

オープニングの長回しや会議シーンなど痺れるようなシーン、文句なしの美形&ナイスボディなボンドガール、キャラの立った敵役、アクションシーンもド派手、アストンマーティンのボンドカーのカーチェイスもあるしで、お腹いっぱいフルコース状態なのだが、自分的にどうしてもサム・メンデス演出のテンポが体内リズムとあわず全体的に冗長な感じが。

個人的にはクリストフ・ヴァルツ の長回しの演技がみたかった。※この人長回しすると、もの凄い細かい演技をするので。

2015年11月18日水曜日

新・映像の世紀「第一次世界大戦」を見て

 新・映像の世紀「第一次世界大戦」を見て、「第一次世界大戦の大きな流れを分かり易く説明していて素晴らしい!」と思ったのだが、世間の評判は「編者の意図が押しつけがましい」「旧シリーズは事実を淡々と繋いでいてそれが良かった」という声が多く、賛否両論らしい。

 なので再放送で 旧作「映像の世紀」を見てみた。第一次世界大戦は「第2集 大量殺戮の完成」で描かれている。

 大きな違いは新シリーズがアラビアのロレンスを軸としたオスマントルコ領土に関するイギリスの三枚舌外交についての説明を大きく割いていること。  今日に続く中東の民族問題や宗教戦争のきっかけがこれにあったとするという流れで番組は構成されている。旧シリーズはアラビアのロレンスとパレスチナにさらっと触れただけで特にフォーカスはしていない。

 前作が制作された1995年は湾岸戦争後だしパレスチナ問題も相変わらずモメてはいたが、日本人の感覚からすると当時はそんなにこの地域はフォーカスされてはいなかったと思う。 それが今やISやシリア難民などの問題で採り上げられることが多く、その世相が反映されているのかなあと思っていたら、フランスでテロがあって然もありなんと思った。
 同じ映像を用いていても時代によって描かれ方は違う。ドキュメンタリーといっても編者の意図によって偏向はある。今回二つの「映像の世紀」を見比べることで「第一次世界大戦」が多面的にみれて理解がより深まった。
NHKにはこの調子で20年おきに「映像の世紀」を制作して欲しい。

2015年11月1日日曜日

読書『銃・病原菌・鉄』

やっと読み終わった。

 内容はさておき、文章が冗長かつ、読みにくく、長い。
 同じ説明が何度も何度も繰り返され、「あれ?また同じページ読んでる?」という錯覚にすら囚われる。もっと完結にまとめれば新書程度のボリュームにできると思うし、乱暴に纏めてしまえばパワポ10枚程度で説明できるんじゃないだろうか。

とはいえ、内容はとても興味深い。

「文明の進歩の格差は人種の違いではなく、地理的な環境によるもの」
という内容を明快ななロジックで説明してくれる。
※多少推論が出てくるのは考古学や歴史の話なのである程度はやむ得ないとして。

根拠とする視点は自分がこれまで知らなかった知識が多くあり(特に病原菌の影響についてなど)、内容的には文句なく素晴らしい。

「マンガで読む銃・病原菌・鉄」とか「要約:銃・病原菌・鉄」とか出してくれないかと思うが、この手のが出るのはビジネス書だけなのか…。