2014年6月29日日曜日

「走ることについて語るときに僕の語ること」を読む



村上春樹の小説はどうにも性に合わなくて読まないのだが、エッセイなどは文章のリズムが秀逸なので時々読む。
Amazonがなにげに自分にオススメしてきたので購入して読んでみた。
※文庫版があったのか…。間違えてハードカバー版を買ってしまった。今リンク生成して気づいた。ぐぬぬ。


改めてフルマラソンを走ろうと思った。
ちゃんと走り込みをしようと思った。

この本は「走ることは楽しいですよ。みんな走りましょう」的なことは書いてない。
しかし自分が走ることで感じている様々な事が文章として結晶化されていて、何故自分が走っていたのか、快調に走り続けていたときの感覚を思い出した。

習慣的に走ると言うことは自分の躰との対話になる。

「今日は20km走ってみよう。ん?12kmですでに体重いな、最近仕事で疲れていたからかな?」

とか。

この本は同じような感覚で綴られている。「あの時はこうなってマズかったから、次はこうした」「○○やってもよくならなくて、こうしたら上手くいった」
常に調整を加えながら少しづつ自分の高みを目指す。
アスリートのような暑苦しいストイックさではなく、静かでクールなストイックさ。文化系的なストイックさとでもいうのだろうか。

ランニングしてない人に「そんなに長距離走って何が楽しいですか?」とよく聞かれるが、自分がランニングしている理由は以下の通り。

①メンタルヘルスの維持
継続的に走っていると落ち込むことがない。あまりクヨクヨ悩まない。
そして頭がスッキリする。
②登山をするための体力維持
テント装備約15kgを担いで1日で上高地から槍ヶ岳まで歩けるようにするため。
③少しづつ距離を延ばしたり、タイムが縮まるが楽しい
仕事でPDCAサイクルを廻すのと同じ。Nike+で記録を見るのも楽しい。

「走る」こと自体が楽しいの?と言われると別に走ることが楽しいわけではないと思う。ただ昔から体力だけで運動神経を問わないスポーツ(走るだけとか水泳)は得意なので性に合っているとは思う。膝とか痛めたことないし。

クランチが祟って体調を崩していて、体長調整のためにランキングを再開していたのだが、これを読んで改めてフルマラソンを完走するためにちゃんと走ってみようと思った。

ランニングをしている人は是非読んで欲しい。
自分がランニングで感じていることが次々と整理されて気持ちいい。

ランニング本でもう一つオススメなのがこちら。

 

この本は「トレーニングは負荷をかけないとダメ」という激烈にシンプルなことをわかりやすく解説してくれる。
「フルマラソンは○○で楽に走れる」的なガイドブックが多いなか、本質なことをズバッと書いてあって目から鱗。
さすがメダリストを育てたコーチは違うね!と思わせる。

負荷をかけないと成長しないというのは、当たり前なんだがいろいろ考えさせられる話だ。

2014年6月16日月曜日

観た映画と読んだ本


弱っている脳味噌に栄養を与えようとドカドカと本を買い込むなど。

■アクトオブキリング
インドネシア右派勢力による100万人規模の虐殺事件の当事者にその当時の事件の模様を演じさせるという凄まじいドキュメンタリー。
虐殺の加害者が虐殺方法やレイプについて嬉々として語っているのが正気の沙汰ではないのだが、これが何の罪のも問われず、問われないどころかTVに出演してその時の模様を語っちゃうとか、完全に狂っているいうか、本当にインドネシアは現代国家として機能しているんだろうか?と恐怖のどん底に突き落とされる。

「あれは戦争だったんだ。だから犯罪じゃない。現にオレは捕まってないし」という虐殺者がいるのだが、確かに戦争だったら何千人と殺してもいいのかもしれない。戦争に勝ったならば戦争犯罪にも問われない。それどころか英雄あつかい。

自分は「人はなぜ虐殺するのか?」に対する回答を求めてホロコーストやルワンダのドキュメンタリーや本を読んだりするのだが答えはない。この映画も「人はなぜ虐殺するのか?」に答えを出さない。ただ虐殺があったことだけを提示するのみで答えはない。

「人はなぜ虐殺するのか?」にSF的な仕掛けをもって回答した『虐殺器官』はやっぱりすごいよねと思う。

この手のドキュメンタリーであれば『ゆきゆきて神軍』のほうが気が狂っている度の尋常じゃなさ加減で優れている。
この映画に出てくる登場人物のほうが圧倒的な数で人を殺しているハズなのに…。

■春を背負って
木村大作はこんな人情話なんか撮ってないで『孤高の人』を映画化しろや、と思っていたら、『孤高の人』のロケが現実的に不可能ってことになってこの企画になったそうな。うむー。やはり冬の北鎌尾根でロケをするのはどう考えても無理だよなぁ。
下記リンクに書いてあった…。

http://www.haruseotte.jp/director.html 

立山のロケは本当に素晴らしい。
雪の剱がかっけー。
鹿島槍から登る朝日綺麗。
ああ、また行きたい。今度は残雪期に行きたい。

でも山小屋の内部がセット臭いなぁ。山小屋あんなに広くないし、そもそも本当の大汝休憩所はもっとショボイぞ。
山小屋の内部もロケでやって欲しかったなぁ。無理か。

蒼井優はこの映画のためにモンチッチカットにしたようだが、可愛い演技しすぎ。
他の演者が比較的ナチュラルな演技なのに蒼井優だけ全力で笑顔を振りまいていて気持ち悪い。やり過ぎだ。

あと演者全員モンベル着ているのはどうかと思う。
そりゃタイアップしているのはわかるけどさ。
タイアップしているであろうイモトの登山部だってそれなりに色々なブランド着ているのにモンベル一択というのはどうにもリアリティなさすぎ。TNFとかホグロフスとか適当に散らせ。

ロケが良いのでそれなりに楽しめた。まあ山好きじゃない人には何も刺さらないだろうけど。


■沈黙の艦隊とジパング
何気なしに沈黙の艦隊を全巻読みたくなってので読み直した。
ジパングは最初しか読んでなかったのでこれも全巻買って読んだ。

感想。
突き詰めるとどっちも同じ話。
海と船と核爆弾の話。
タカ派の海の男とハト派の海の男がケンカして、最後にタカ派がハト派に未来を託して終わる。

ジパングはもう少し時代背景の分析に深みがあるかと思ったが、自分的にどう処理するのかと興味をもっていた石原莞爾とか満州の話は放っておかれて終わってしまった。

いやー、あれでは講和には持ち込めないと思うよ。
満州と中国の処理を適当にして終わっちゃうのはどうなんでしょうか。
現実問題として再度ハルノートを全面的に受け入れるとか無理だと思うんだが。最後の部分がツメアマな気がする。
やっぱり海の漫画だからなんだろうか。うーん。


■それでも、日本人は「戦争」を選んだ

ジパングを読んで改めて太平洋戦争の起因とその当時の状況を勉強し直そうとして購入。
ついでに山川の歴史教科書も買い込んでこの辺の歴史を整理し直し。

日清戦争から太平洋戦争までの「どうして戦争が必要だったか?」が分かりやすく纏まっている。良書。
ただ太平洋戦争の部分は説明が少なくてこれだけでは理解できない。

これを読んで分かることはいつの時代も「中国」とどうやり合うか?がテーマなんだと。
それは現代でも方向性は違えど同じなんだと思った。